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参考:少しディープな説明

はじめに

このページは、あくまで参考ページです。
「簡単に作ってしまいたい」と思っている方は、読まなくても大丈夫です。

正統派・梅干しレシピ」では、例えば「塩分18%」と紋切り型で書いてますが、本当は皆さんにあった塩分で作って頂くのが一番です。おそらく現実的に、梅の入手は、手に入るものを買う(もらう)ことが多く、選ぶまでは難しいものです。それに比べ、塩を選んだり、塩の量を変えてみたりすることは現実的に出来ることと思います。そのあたりを中心にちょっとディープな説明をしてみます。

梅と塩の基本的な関係

正統派・梅干しの材料は、梅・塩・赤ジソだけ。白梅干しがそうですが、基本は梅と塩です。そして大ざっぱに、梅は酸っぱいもの。そして、塩はしょっぱいもの。塩分量を決めるにあたって、塩を少なめにすると(梅を多めにすると)酸っぱい梅干しに、逆に塩を多めにすると(梅を少なめにすると)しょっぱい梅干しになります。つまり、

(梅の)酸っぱさと(塩の)しょっぱさのバランス

がとても大切なこととなります。しかし、梅も塩もさまざまなものがあるので、一筋縄ではいかないところであり、面白いところなのです。

梅について

梅の実はかなりの品種があり、それぞれで酸味の強さなど味、果肉の柔らかさ、皮の厚さ・味、香りなど異なります。全国的に有名なのは、「南高梅」「白加賀」などですが、その他にも、たくさんあります。「南高梅」が最もポピュラーなのは、大粒で柔らかい果肉が厚く(大粒な割に種が小さく)、皮が薄いため、果肉たっぶりの梅干しに仕上がるからでしょう。苦味などクセも少ない。また梅の原種に近い「白加賀」は苦味などのクセがややあります。

当然梅の種類によって、梅干しの味も異なってきますが、その他大事なのが果肉の量による違いです。例えば、同じ2kgの梅でも、肉厚で果肉が多い梅とそうでない梅では全体の果肉量が違います。先に、「塩を少なめにすると(梅が多いと)酸っぱい梅干し・・・」と書きましたが、それは単に計った梅の重さではなく、厳密には、水分も含むその果肉の総量によるのです。ですから、果肉の多い梅の場合は、塩分も多めでもよく、逆に小梅など比較的果肉の少ない梅の場合は、塩をやや少なくすることで、そのバランスをとります。

例えば、果肉の厚い梅1kgは、薄い梅1.2kgに相当することもあるでしょう。また味として、酸っぱさやときには苦味を多くともなった梅は、やや塩が多い方がバランスがいいでしょう。反対に、梅の味にクセが少ない場合は、少なめの塩がいいでしょう。お好みによって、梅の果肉量や味の違いによって塩分量を変えてみるのもひとつの方法です。

そして出来上がった梅干しの酸味や苦味、塩辛味が強過ぎると感じたときは、そこで諦めないで、もう1〜3年置いてみてください。

以前、私が白加賀を使って白梅干しを作ったときのこと。干し終わったばかりはもちろん、1年たった後も、やたらと苦味が強すぎて「困ったな」と思ったことがありました。そしてそのまま流しの下の収納の奥にしまったまま忘れていました。2年後(仕込んでからは3年後)のこと。収納を整理していてその梅干しに気がつき食べてみると、苦味がグッと柔らかくなっていて全体的に奥深い味に変わっていて驚きました。これを熟成と呼ぶのでしょう。この科学的な根拠は分かりませんが、それは南高梅にはない独特のおいしさでした。

クセが強すぎる味になったのは、下準備のアク抜き(水に漬ける)が足りなかったかも知れません。しかし、あまり長く水に漬けすぎても梅が傷む方向に進んでしまうので、その判断は難しいものです。

また、しょっぱすぎても1〜3年置くだけで、「塩慣れ」してそのしょっぱさが柔らかくなります。

1〜3年は長いですが、出来上がった梅干しのクセが強かったり、しょっぱすぎると感じても、そのまま置いておくだけでおいしくなることがあるのです。出来た梅干しは腐ることはないので、収納する場所さえあれば、諦めないで欲しいと思います。時間はかかりますが、クセの強い梅ほど長く時間をおくと、個性的な梅干しになることが多いと思います。

多めの梅を準備すると

梅の実はとてもデリケート。虫がつきやすいため、無農薬栽培は難しいと言われます。虫が食ってるものがあったり、ちょっとぶつかっただけで、すぐに傷がついたり悪くなったり(変色)します。ですから一袋買うと、たとえ無農薬でなくても、全部が「無傷・変色無し・虫食い無し」ということはあまりありません。それでも、「無農薬の梅がいいなー」と思う私の場合は、

これで梅1kgにハチミツ1000cc
漬けて10日後ぐらい

3kgの梅を漬けるときは、4kgの梅を買います。

Step1. 梅の下ごしらえ」で、ひとつひとつヘタとりをしながら選別しますが、その選別の際に、3kg分は「いい梅」を選び、残りは梅のハチミツ漬けや梅酒、梅ジャムなど、梅干し以外に使います。その場合、虫食いや悪くなってる部分は包丁で切り取って使います。

例えばハチミツ漬けはとても簡単。容器とハチミツがあれば出来ます。水洗い後、水気を切った梅を容器に入れ、ハチミツを加える。以上。ときどきかき混ぜたり天地返ししたりするとなおよし、ぐらいです。我が家では梅1kgにハチミツ1000ccぐらいの割合です。出来たら1ヶ月置くと、梅の味がしっかり汁に出ますが、1週間後ぐらいから梅の香りがつき始めます。また漬けて2〜3日後ぐらいから、発酵による炭酸ガスが発生します。(右の写真のような)密封容器の場合は、ときどき封を開けてガス抜きしましょう。瓶(カメ)など密封しない容器の場合は、蟻返し(水を張った皿に置く)などが有効です。飴色の汁を氷水や炭酸水で割る。さらにはお好みで焼酎やウォッカ・ジンで割っても。梅の実はそのままおいしいし、お茶請けにも。

こうして、多めの梅を準備して、梅干し以外の副産物を一緒に作ると、傷や虫食いのある無農薬の梅でも、作りたい量の梅干しを皮が破けていない状態で作ることが出来ます。ご参考まで。

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塩について

塩の成分・味もいろいろなので、ここではカンホアの塩を中心に書きます。

● 成分と味 ●

まず、その成分・味は塩によって意外と違います。カンホアの塩の場合、例えばしょっぱいNaCl(塩化ナトリウム)は86%ほど。100%近い塩と比べると10%以上違います。単純にこれで仕上がる梅干しのNaCl量が10%以上違ってきます。また、NaCl(ナトリウム分)以外の、マグネシウム分(苦味)、カリウム分(酸味)、カルシウム分(淡いエグ味)等々の成分で、複雑さ・奥行きのある塩味になり、梅干しの熟成も促すと感じています。

また、水分も塩によって様々です。カンホアの塩はおよそ6%。これは最後に天日に干しているからです。例えば、干す前の水分は15%近いので、そのときのNaClは80%ほどです。NaClが100%近い塩の水分はほとんどゼロですし、日本の釜焚き塩の水分はおおむね10%以上あります。塩の成分をチェックする際は、水分量も含めた数字を見ましょう。

カンホアの塩と他の塩との違い(FAQ)

● 性質 ●

また、カンホアの塩では、ナトリウム分(NaCl)に次いで2番目に多いマグネシウム分(苦味)は「湿気やすい・溶けやすい」性質です。これは塩を梅にからめやすくさせます(右の写真参照)。「湿気やすい・溶けやすい」性質が梅の表面に微妙についた水分に溶けやすく馴染みやすくなるからです。さらに、塩漬けの間、梅の実から浸透圧で出る水分にも溶けやすいため、梅酢が上がるのを促します。

● 防腐効果 ●

梅干し作りの塩の目的は、味の他に、防腐効果があります。塩分を多くすれば、その効果は高まるのでカビが生えにくくなるし、低くすると衛生面をより気をつけなくてはならなくなります。

ちなみに私は、塩分10%で作ったことがあります。容器などの熱湯消毒はいつもより念入りにして、焼酎を使いました。それで全くカビは生えなかったので、10%ぐらいなら、ご家庭で可能な範囲と思います。ただ、先に書いた「酸っぱさとしょっぱさのバランス」という意味で、「やけに酸っぱい梅干し」になったので、それからは梅に応じて、15〜18%ぐらいで作っています。

ちなみに、「正統派・梅干しレシピ」では塩分を18%にしています。その理由は、だいたいどんな味・果肉量の梅でも無難で、カビも生えにくい塩分量だからです。ですから、小梅など明らかに果肉の少ない梅の場合は15%ぐらいがいいでしょう。また、市販のいわゆる「低塩梅干し」には塩分5%のものもありますが、その多くは糖分などで防腐効果が高められており、甘めの味になっています。

(梅の)酸っぱさと(塩の)しょっぱさ、のコントロール

お店などで買う梅は、たとえ「南高梅」と書いてあっても、毎年違います。「南高梅」でも細かくは品種がいろいろ違っていたり、天候や産地も様々だからです。したがって、「今年の梅干しは・・・」ということになります。このへんが難しいと同時に面白いところ。年々違う梅を使っても、塩分量で、ある程度この「酸っぱさとしょっぱさ」のバランスをコントロールすることは出来ます。梅に合わせ、お好みに合わせ、塩の量を変えながら、ご自分に合ったレシピをつかんでもらえたら、嬉しいです。

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