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作り方3:土用干しと保存

Step4.土用干し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・力強い陽差しをいっぱいに浴びて

土用干しこうしてぶら下げてもよく干せます
ただし強風には注意

レシピ本編とは離れますが、私が住む関東地方はここ数年梅雨明けが7月初旬で、土用の頃(7月末から8月初旬)は天気に恵まれないことがしばしば。そのヤキモキと対策案を下記のブログに書きました。ご参考まで。(飛ばしても問題ありません)

関連ブログ:土用前の土用干し(準備編)
(2018年6月27日)

関連ブログ:土用前の土用干し(土用干し編)
(2018年7月4日)

関連ブログ:土用前の土用干し(まとめ編)
(2018年7月18日)

さて、レシピの本編に戻ります。

梅雨が明け、何日か陽差しの強い日が続きそうなときが理想のタイミング。あらかじめ、梅干し用の平らなザルを洗って乾かしておきます。

朝、鮮やかに染まった梅を、菜箸やトングで瓶から取り出し、平らなザルに並べて、天日に干します。瓶に残った赤ジソが漬かった赤梅酢はザルで漉し、赤ジソをボウルに除けておきます。

「この赤ジソをどうするか?」は、最終的に梅干しをどう仕上げるかによって異なります。この天日干しの後は、「保存(熟成)」の段階になりますが、そのときの添え物になるのが、この赤ジソです。この赤ジソの水分量で、完成する梅干しのシットリ具合を調整することが出来ます。以下、梅干しの仕上がりを「乾きめタイプ」と「トロッとタイプ」に分けて説明します。

関連ブログ:小梅の土用干しをしながら、赤ジソの処理法を考える(2019年7月30日)

梅干しを「乾きめタイプ」に仕上げたい方は、絞った赤ジソを梅と一緒に天日に干して、カラカラに乾燥させた赤ジソを「保存(熟成)」の梅干しの添え物にします。これでも、2〜3ヶ月後には空気中の水分を吸って、赤ジソも梅も少しシットリしてきます。

逆に「トロッとタイプ」タイプに仕上げたい方は、赤ジソを干さずに、軽く絞っただけのシットリした赤ジソを「保存(熟成)」の添え物にします。

それらとは別に、赤ジソをユカリにしたい方は、その分を梅と一緒に天日に干します。天日に干す前に、赤ジソをしっかり絞れば(梅酢をしっかり抜くと)、そのユカリは薄めの味に、反対に緩く絞ると、濃いめの味になります。いずれの場合も、カラカラになった赤ジソをフードプロセッサー・すり鉢などで細かくします。

さて、梅をザルに並べて天日に干します。その際、隣の梅となるべくくっつかないように。一日一度、全ての梅を裏返して、まんべんなく陽に当てます。このとき、(南高梅など)外皮が薄い梅の場合は、乾くとともに外皮がザルにへばりつきやすくなります。それを避けるには、カンカン照りで干し始めて1〜2時間後ぐらいに裏返します。1〜2時間後だと、まだ梅の表面が乾き切っていないのでザルにくっつきにくく、裏返しやすいです。夕方、ザルごと軒下や室内に移動させ、ホコリよけに新聞紙などをかぶせます。(外に出したままにして「夜露に当てる」という方法も聞いたことがありますが、夜中に雨が降ることもあるので、私は室内に移動します)

これを3日間(つまり3回)繰り返します。

それと、瓶など容器に入っている赤梅酢は、梅の土用干しと平行して、容器ごと陽の下に置いて水分を飛ばして濃縮します。濃縮後、ガラス瓶やペットボトルなど(金属キャップではない容器)に移します。調味料として使いましょう。(下記「赤梅酢の使いみち」参照) 梅酢を移して空になった瓶を洗って干します。赤梅酢の濃縮の主な目的は、自分が使いやすい濃さにすることとガサを減らすこと。使う際、薄めるのは水を足すだけですが、濃縮するのはすぐには難しいです。言うまでもなく、濃縮すると、色・味ともに濃くなります。陽差しにもよりますが、私の場合は1〜2日ぐらい陽の下に置いて、半分ぐらいに濃縮します。

もしもお天気に恵まれなかったら・・・・

梅雨明けがハッキリしないときは、8月中〜下旬になってでも晴天の続きそうなときまで待ちましょう。その間、長く赤梅酢に漬かっていてることは問題ありませんが、長くなる場合は、カビに注意が必要です。1〜2日に一度など頻繁に容器の中をのぞいてください。カビを見つけたら、すぐにスプーンなどですくい取りましょう。

「カビが生えたら」の詳しく

関連ブログ:“梅干し雑記、土用干し待つ間”(2013年7月24日)

もしも土用干しで雨に当ってしまったら・・・・

ザルは洗って天日乾燥。梅は、ついた雨水を丁寧にふき取って(焼酎をスプレーしても)、もう一度、赤梅酢にくぐらせて干し直せば大丈夫です。

Step5.取り込みと保存(熟成)・・・・・・・1年寝かせると全体の味がよくなじみます

5-1.取り込みと後片付け

土用干し3日目の夕方、ザルの上の梅干しを取り込みます。

「乾きめタイプ」の梅干しがお好みの方は・・・・
ザルから空になった瓶(または保存用の別容器)に移し、カラカラに乾いた赤ジソを大まかに梅の間に挟みます。2〜3ヶ月後には、空気中の水分を吸ってシットリしてきます。

「トロッとタイプ」の梅干しがお好みの方は・・・・
あらかじめボウルに赤梅酢を用意し、ザルの梅を、一度その赤梅酢にくぐらせた後、保存用の容器に移します。そして緩く絞ってシットリしている赤ジソを大まかに梅の間に挟みます。

大きなポリ袋の中に、サイズが少し違う
ザルが重なって入ってます

ザルの後片付けも大事です。

使い終わったザルは、タワシでゴシゴシ水洗いします。水を切って、天日でよく乾かした後、大きなポリ袋などに入れてしまっておきましょう。乾きが悪かったり、ポリ袋などに入れないと、翌年いざ使うときにカビが生えてたりします。一年間しまうことになるので、しまうときが肝心です。

そして、取り込んだ梅干しの保存方法は、仕込む量やご自宅の環境によって様々になりますが、下記に、毎年3キロ仕込む我が家の例を紹介します。ご事情にあわせてアレンジしてください。

毎年3キロ仕込み続ける我が家の場合・・・・

右が仕込み兼一時保存用の寸胴型、
左がやや小さい保存専用の半胴型

我が家では、2つの容器を使って回しています。一つは、このレシピでも使っている寸胴型の瓶(かめ)。二つ目は、保存専用の半胴型(底部が狭くなってる)の瓶です。保存専用の半胴型は重石をのせないため、寸胴型より一回り小さいサイズ。

土用干しの最終日の朝、空になった寸胴型の瓶を洗って干しておきます。そこに土用干しが終わった梅干しを赤ジソを挟みながら戻します。そして、1年弱の熟成が終わった頃(翌年の春頃)、ちょうどその前年の梅干しを食べ終わって空になった半胴型の瓶に移し、そこから少しずつ食べ始めます。これで寸胴型は空になり、その2ヶ月後ぐらい、新たに梅干しを仕込むときに使います。

こうして、毎年おおむね1年分の梅干しを仕込み、2つの瓶を使い回すことで、「仕込む」→「熟成させる」→「食べる」の循環を、毎年通年繰り返しています。

関連ブログ:“瓶替え”(2012年4月12日)

5-2.保存(熟成)

土用干し直後でも浅漬け(ジューシーな)感覚で食べられます。適した熟成期間は、梅の種類にもよるのですが、だいたい1年(翌年の梅雨時)ぐらい。それまで冷暗所に置きます。塩味も酸味もよくなじみ、よりおいしくなります。

(赤)梅酢の使いみち(その0)・・・梅酢ドリンク

梅酢ドリンク最初は薄めで、慣れたらお好みで

暑〜い夏場、我が家の定番必需品になっているのが、この梅酢ドリンク。少量の梅酢を水筒やペットボトルに入れ、水で割るだけ。酸っぱ塩っぱい飲み物で、夏の水分・塩分補給にはピッタリです。そのサッパリさに食欲もそそられます。携帯用は水で割りますが、自宅の飲むのだったら、氷とともに炭酸水で割っても。梅酢の味は濃いので、薄めに割るところからスタートしてみてください。ゴクゴク飲める程度がオススメ。梅干し作って、梅酢が出来るのが、ちょうど夏の盛り。タイミングもピッタリです。

最近は、スポーツドリンクに塩を加えたような経口補水液なるものがありますが、大ざっぱには、そこから甘さをなくしたようなもの。成分としては、梅のクエン酸、赤ジソのアントシアニンやロスマリン酸、そして「カンホアの塩」の海の成分等々・・・・となりましょう。梅干しを仕込んだ人へのご褒美の飲み物とも言えると思います。

関連ブログ: 梅酢ドリンク(2015年7月28日)

(赤)梅酢の使いみち(その1)・・・赤梅酢ご飯

赤梅酢飯見た目もきれいな桜色の赤梅酢ご飯

赤梅酢はかなり日持ちしますが、棚の奥に埋没しがち。ドレッシングや漬け物汁に、また餃子のタレなど、基本的には塩分が含まれた酢としていろいろ使えますが、オススメはこの赤梅酢ご飯。赤梅酢をシンプルに白いご飯に混ぜるだけ。砂糖やみりんなしで、かえってお米の淡い甘さが楽しめる、サッパリおいしい酢飯になります。ポイントは、赤梅酢を入れ過ぎないこと。少しずつ加えて、味を見ながら仕上げましょう。手巻き寿司や海鮮丼のシャリに、夏場のお弁当のご飯にもいいですね。米粒をつぶさないように混ぜるなど、混ぜ方は普通の酢飯と同じ要領です。白梅酢でもおいしいです。是非、一度お試しを。

赤梅酢の使いみち(その2)・・・本物の紅生姜

紅生姜梅酢があれば簡単に本物の味

よくある人工着色料の真っ赤な紅生姜とはまったく別物。もちろん白梅酢でも、おいしく出来ます。

生姜の皮の汚れを洗って、薄くスライスし、梅酢に漬ける。1週間ぐらいすると右の写真の(薄)紅生姜になります。スライスを細切りにしてもいいでしょう。(細切りの場合は、写真のよりもっと斜めにスライスして断面を広くした方がいいでしょう)もっと色濃くしたければ、塩もみした赤ジソの葉を足したり、漬ける前にスライスした生姜を一度干して梅酢の染み込みをよくしたり、途中で梅酢を入れ替えたりしても。人工着色料の真っ赤な紅生姜より生姜自体の存在感がグッと増して、サッパリさ加減が何ともナチュラルでおいしいです。焼き魚、お好み焼き、たこ焼き、チャーハン、豚骨ラーメン、沖縄そば・・・。赤梅酢そのままより使い道はかなり増え、日持ちもするので、冷蔵庫の常備品にいかがですか。

関連ブログ: 本当の紅生姜(2009年7月27日)