home > カンホアの塩とは? TOP > 「カンホアの塩」の天日製法 > 2:結晶、収穫、石臼挽き
濃度27%ぐらい(直線はタイルの目地)
この結晶池で、濃度15%の海水は30%まで濃縮されます。この「15%から30%まで」の間に析出する海水の成分がカンホアの塩になります。具体的には、まず15%から25%の間にカルシウム分(淡いエグ味)、25%からはナトリウム分(塩辛味)、そして27%からカリウム分(酸味)、そのすぐ後からマグネシウム分(苦味)と、次々にいろんな成分が塩の結晶を形作り、同時に塩の味が作られます。こうして「海水の成分を“全体的”に取り込む」ことで、カンホアの塩ならではの「海のように、深く豊かな味わい」を作ります。
カンホアの塩の収穫風景
海水を最初の塩田に引き入れてからおよそ2〜3ヶ月後。元々濃度3.4%程だった海水が、約30%まで濃縮されたところで、結晶した塩を収穫します。T字型のトンボで塩田の底にたまった塩をかき集めます。このとき濃度30%ですから、海水は全部塩にはなっていません。結晶した塩が母液に浸かっている状態で、その母液がニガリです。これ以上濃縮すると、マグネシウム分が急激に多く結晶するため、極端に苦い塩になってしまいます。このタイミングで収穫し、ちょうどいい苦味になります。かき集めた後は、一輪車で石臼のある小屋まで運ばれます。
【工程の変更】 以下のStep 6と7の順番が変わりました。(2023年7月5日更新)
以前は、上記Step 5.いよいよ収穫の後、Step 6が「枯らし」、Step 7が「石臼挽き」でしたが、それを入れ替え、先にStep 6.石臼挽き、その後に、Step 7.枯らしという順番になりました。
収穫直後の結晶の粒は、ビショビショな程、粒の周りにニガリ(液体)が付着しています。それをすぐに石臼挽きして細かな粒にすることにより、粒の総表面積を広げて、ニガリが塩に付着しやすくしました。こうしてニガリ成分が含まれやすくなった分、収穫のタイミングを若干早めにし(収穫時の濃度を若干低めにし)、仕上がりの成分・味は、以前と変わらないようになってます。
石臼挽き(動力はモーター)
収穫した大きな結晶の粒を、石臼で挽いて細かくします。一般の天日塩の場合は、一度にたくさん粉砕出来るように、いったん溶かして釜焚きし、細かい粒に再結晶させます。(日本の釜焚き塩もそうですが、高温で結晶させると粒が小さくなります) しかし、いったん溶かすと、溶けやすいマグネシウム分・カリウム分などが落ち、ここまで調えた成分・味が変わってしまうため、カンホアの塩は石臼で挽き、結晶の粒を単純に砕くだけ。石臼で挽くのは少量ずつしかできませんが、成分・味はそのままです。石臼で挽くこともカンホアの塩のこだわりです。
床が20cmほど上がっています
収穫されたばかりの塩は、ニガリでビショビショの状態です。その状態からニガリを落とすことを、日本では昔から「枯らす(名詞は、枯らし)」と称していました。現在は、この工程を脱水機のようなもので、短時間でニガリを飛ばすことが多いですが、昔は静置させ重力だけで、枯らしていました。
カンホアの塩は静置させ、重力でゆっくり床下へ余分なニガリを落とします。積まれた網状の袋からポタポタと余分なニガリが落ちます。海水の微量成分は、塩の粒の周りに付着していることが多いので、重力に任せながら、ゆっくり枯らします。これで、カンホアの塩の味がちょうどよく調った状態になります。