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塩の使い分け

料理の味と塩の味

塩には、味はもちろん、形状、色までと、いろいろなものがありますが、ここでは、「味」に焦点を絞ります。取り上げるのは、味・成分として対極にある、海水塩と岩塩です。

海水塩は、海水に含まれている様々な成分の、どれがどのくらい含まれるかによって味が変わるので、いろいろになりますが、海水塩ならではの塩として、カンホアの塩のように、ナトリウム分(NaCl)だけでなく海水の全体的な成分(マグネシウム・カルシウム・カリウム分といった成分)が豊富に含まれた複雑な味の塩とします。一方、岩塩は一般的にナトリウム分(NaCl)の純度が高いので、直線的な塩味が特徴です。

最初に、一般論として、「山の塩(岩塩)は肉料理、海の塩(海水塩)は魚料理」ということが言われます。しかし、それは「赤ワインは肉料理、白ワインは魚料理」という一般論に似て、そうとも限りません。ですから、ここでは「岩塩だから肉、海水塩だから魚」ということではなく、「どんな味の料理に向いているか」という視点で進めます。味覚の話ですから、あくまで私の経験と主観によります。また、特徴がハッキリするよう、あえて極端に表現しています。これをひとつの参考にして、ご自分・ご家庭に合った使い分けをして頂けたら幸いです。

海水塩との相性がいい料理

一口に「塩辛い」とは言えない海水塩は、その複雑で微妙な味ゆえに、「微妙なおいしさ」を味わってもらいたい料理にいいでしょう。直線的な塩辛さの岩塩とは対照的に、料理の味を包むようにきいて、微妙な味を感じさせてくれるからです。素材で言えば、野菜・穀物・魚介類が中心になります。例えば、おにぎりには海水塩が、お米の淡いうま味や甘みを引き立ててくれるでしょう。小麦も同じ様に、パンの生地にはもちろん、オイルと塩で食べるようなときもいい相性です。肉類では牛タンや鶏、豚。そしてスープ(汁)やソース(たれ)だったら、素材の微妙なおいしさを醸し出したいときなど、その複雑な塩味が活きるでしょう。日本酒や白ワイン、軽めの赤ワインが合うような料理のイメージです。

岩塩との相性がいい料理

シンプルな塩味の岩塩は、コッテリとした重めの味の料理に合うでしょう。重い味に対して、海水塩の複雑な塩味がぼやけてしまっても、岩塩にはその重さに負けない強さ・鋭さがあるからです。肉類で言えば、いわゆる白い肉(鶏・豚)より赤い肉(羊・牛)。ジビエなどクセの強い肉類などにもいいでしょう。また、硫黄が含まれた岩塩は、岩塩ならではのもの。硫黄の味・香りが肉の臭みをやわらげ、とてもいい相性です。また、ソースで言えば、デミグラスソースや昔ながらのフレンチにあるような濃厚なソースに、岩塩の直線的な塩辛さが活きるでしょう。微妙さを引き立てるというより、濃厚さにしっかりきく感覚です。タンニンの力強い赤ワインや焼酎が合うような料理のイメージです。

ご家庭では ・・・・
プロの料理人で、数種類の塩を使い分ける方は少なくないですが、ご家庭ではだいたい上記の2タイプの塩があれば、それでほとんどの料理に使えると思います。それでは、“Buon Appetito!” おいしい生活を。

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