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塩の味見のコツ

料理の味見と同じところと違うところ

私は仕事柄、よく塩の味見をします。カンホアの塩の出来栄えはもちろん、機会あるたびにいろいろな他の塩の味も見ます。そんなとき、注意していることがあるので、それをこのページで紹介します。

おいしい塩分濃度は、0.9%

これで約0.5g

人間が「おいしい」と感じる塩分濃度は0.9%ぐらいです。これは私の感覚でそうなのですが、調べてみると、人間の身体の塩分濃度も、約0.9%です。

さて、料理教室などで塩の『ひとつまみ』は、約0.5gと言われます。ただしこの場合の『ひとつまみ』は、親指と人差し指の2本でややしっかりつまんだぐらいの量。右の写真は、やや小さめの女性の手での『ひとつまみ』。これでおよそ0.5gです。では、どのくらいの量が塩の味見にちょうどいいかと言うと、それは右の下の写真ぐらいで、『ほんのちょっと』。右上の『ひとつまみ』と比べると、10分の1にも満たないぐらいです。つまり、この『ほんのちょっと』の量が、舌の上にのせたとき、0.9%に近くなっている量なのです。

これが味見の適量の目安

おいしい塩ほど、「おいしい」塩分のスィートスポットが広いので、それほど厳密にならなくても大丈夫ですが、複数味見する際は、ある程度一定の量で比べることは大事です。無造作にひとつまみして、2倍も違うと比較が難しくなってしまいます。

「おいしい」塩分状態は、人間の味覚をより自由にし、隅々までのいろいろな味を感じようとします。つまり鋭敏になります。逆に、「しょっぱ過ぎ」の塩分状態では、味覚が、または身体が「過ぎたること」を防ごうとして萎縮します。つまり鈍感になる(または鈍感になろうとします)。それは北風吹きすさぶ冬の日、コートの襟を立てて体温の低下を防ごうとすることに似ています。反対に「おいしい」塩分状態は、頬をなでるような心地いいそよ風が吹く春の日、その風を身体が目一杯感じようとすることに似ています。

それは料理でも同じこと。ですからプロの料理人の方々は、自分の『ひとつまみ』にとても敏感です。しかし、プロでなくても、慣れてしまえばある程度の集中力で大きく間違うことはありません。是非、ご自分の『ひとつまみ』を少し意識してみましょう。それが一定量になると、塩分の失敗も減り、料理の手際もよくなって、「おいしい」を一歩進められるかも知れません。

補足として・・・・塩以外の要因

そして塩の味見の際、意外と大事なのは、一回の味見の点数です。ちなみに私の場合、「塩の味見は3点まで」と決めています。私の個人的な経験ですが、それより多いといくら途中でうがいをしても、感覚的に分かりにくくなります。また、一回に3点味見したとして、次までは2〜3時間のインターバルをあけます。

また、人間の味覚はそのときの気候や体調などによっても違ってきます。概して暑いときは、身体が塩分を欲するため、やや多めの塩分をおいしく感じ、寒いときは逆。そして体調のすぐれないときは塩分をより強く感じるものです。ですから料理店によっては、気候やお客さんの体調も加味して料理の味付けが決められます。とは言うものの、ご家庭の方が、食べる人の体調をはるかに把握しやすいですから、より加減しやすいと言えます。

補足として・・・・塩の形状などの違い

最後に塩の粒の形状について。 その形状は、塩によって様々です。

例えばカンホアの塩の場合、【結晶のまま】の粒は結晶状で大きめ。そして、【石臼挽き】は挽かれているので小さい粒。この2つは石臼で挽いたか挽いてないかの違いなので、水に溶かせば同じ味、つまり同じ成分です。しかし、大きい粒の【結晶のまま】の方が舌の上でゆっくり溶けるため、早く溶ける【石臼挽き】より塩分を弱く感じます。

塩を溶かさずに舌に直接のせて味見する際は、その塩の形状などによってもこのような感覚的な違いが生じます。

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