home >>> いろいろな「塩」の違いとは? TOP >>> 海水について
海水の塩分濃度は約3.4%。つまり、96.6%の水に3.4%の「塩」が溶けています。この場合の「塩」は、塩化ナトリウム(NaCl)だけでなく、右図のように、様々な成分です。それらはすべて無機質で、その内訳は、NaClが全体のおよそ4分の3。残り4分の1はその他の様々な無機質です。「その他」は0.3%ですが、その0.3%にも数十種類含まれており、海水全体で100種類近くあると言われています。そしてこの割合は地球上の海でほとんど同じです。
なお、海水は液体、塩は固体です。右図は、仮に海水が全て固体になった場合の成分とその割合を示しています。例えば海水中で、NaClはNa+とClーに、MgCl2は、Mg2+とCl−(2個)に分かれて存在しています。この右図では海水を塩に関連付けやすいよう、液体である海水の成分を固体として表しています。
『地球上のすべての生物は海から生まれてきた』と言われていますが、それはこれら様々な無機質から有機物が生まれたということ。科学の領域を超えています。海水とはまさに小宇宙。それは無限に複雑で、妙なるものと言えましょう。
そして、これらの無機質はすべて味が違うため、海水は単に「塩辛い」だけではなく複雑な味なのです。上図のとおり、代表的なのは5種類ですが、2つのマグネシウムの化合物は味・性質ともに似ているので、これからの説明では、その2つをマグネシウム分とひとくくりにし、他の成分とともに「○○分」と簡素に表記します。
これら以外の「その他:0.3%」にも数十種類の無機質が含まれますが、かなり微量になり人為的な調整が難しいので、ここでは上の4つの成分を取り上げて説明します。では海水は「塩辛い」の他にどんな味がするのでしょう。それを次のページで見てみましょう。
例えば、小学校の家庭科の授業で、人間が必要な五大栄養素として、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、無機質と習いました。その「無機質」です。ですから、人間が生きていくには欠かせないもののひとつ。またそれはひとつのものではなく、100種類近くあると言われており、「無機質」とはその総称です。代表的なのは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛など。栄養学では一般的に英語で“mineral(ミネラル)”と呼ばれますが、食用塩の業界団体(食用塩公正取引協議会)では、「“ミネラル”という言葉を使うと優良誤認の恐れがある」として、使用しない決め事があります。そこでこのサイトでは「無機質」や「(海水の)成分」という言葉を使っています。また、無機質のひとつの特徴として「人間の身体の中では作り出せない」ということがあります。つまり、汗や便などで常に排出されているので、食品などで必要な分を摂らなくてはなりません。しかし、どの食品にも言えることですが、摂り過ぎもよくありません。「バランスのいい食事が大切」と言われるのと同様に、各無機質類もその量とバランスが大切と言えましょう。