home >>> いろいろな「塩」の違いとは? TOP >>> 世界・日本・ベトナムの塩事情
現在、世界中で1年間に生産される塩は、約1億8000万トン。そのうち、海水塩は、約4分の1で、残りは岩塩や湖塩など海水以外から作られています。日本では、塩と言えば、「海水から作る」が常識的ですが、世界では比較的珍しいとも言えます。岩塩の方がポピュラーな欧米では、一般的に“sea salt(海水塩)”の方が“rock salt(岩塩)”より珍重されています。ときどき欧米の食品で“sea salt”とパッケージで謳っている商品がありますが、それはそのため。3.4%の塩分濃度の海水を濃縮して塩を作るより、もう塩になっている岩塩の採掘を塩作りのスタートにした方が低コストです。また、世界の塩の歴史としても岩塩の方が古く、海水塩は岩塩の入手が困難な海辺の人たちが作り始めたと言われています。
ベトナムも日本も岩塩や湖塩が採れず、海岸線が長いという立地条件は共通しています。そのため、どちらの国も、塩と言えば「海水塩」。ベトナム料理が日本人の口に合うと言われたり、ベトナム料理も和食も、シンプルな塩味など素材の味を活かしたものが多いのは、昔から「海水塩」を使い続けてきたせいかも知れません。
現在、日本で消費されている塩の9割近くは食用以外の用途に使われています。食用は1割強。それは直接食塩には関係ないことのようですが、その食用以外の塩は、食塩の原料としても使われるため、関係なくもありません。詳しくは、下記のページをご覧ください。
ベトナムの市場の塩。“MUOI”は「塩」
“AN”は「食べる」“MUOI AN”で「食塩」
また“IOT”が「ヨード」の意
日本には、今でこそいろいろな塩がありますが、それは1997年に専売制が廃止されてからのこと。それまでは、「サラサラしている塩」が定番でした。また、化学調味料が加わった塩も珍しくなく、当時はどこの家の食卓にもあったものです。今のベトナムは、ちょうどその頃の日本のようなところがあります。
現在、ベトナムで一般的に「いい塩」とは、その味よりも「サラサラしているか」「添加物(主にヨード)入りか」という点が大きなポイントのようです。また、化学調味料も加わった塩も登場しています。ヨードは、主に海藻類に多く含まれるミネラルの一種。不足すると甲状腺の病気にかかりやすくなると言われています。日本の食生活では一般的に不足する心配がないため、あまり馴染みがありませんね。ヨードが添加されると正直おいしくありませんが、ベトナムでは、それが「いい塩」と政府が奨励しています。
ところで、上の写真にはありませんが、ベトナムの田舎の市場などに行くと、印刷のないただのポリ袋に入って、輪ゴムで封がしてあるような塩をたまに見かけます。夾雑物は多く味も安定してはいませんが、(洗浄など)加工もされてないため、適度な雑味があってうまい。しかも安い。専売制の頃の日本では沖縄に手作りの「闇塩(やみしお)」があったという話を聞いたことがありますが、それを彷彿させるような塩です。(注:ベトナムのは闇ではありません)ただ、それもメッキリ減ってきており、今や大きな町のスーパーマーケットには外国製の塩まで並んでいます。