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各成分の味と性質

塩辛いだけではない海水

下の図は、海水に含まれている代表的な4つの成分の味と性質を示したものです。海水の塩辛さは主に一番多いナトリウム分のため。そして、その他の成分の様々な味によって、単に塩辛いだけではない複雑な味になっています。また、味だけでなく、「溶けやすい・溶けにくい」の性質(溶解度)も、各成分ごとに違います。この性質の違いが、塩を作る際、とても重要になります。

例えば、上図の4つの成分が含まれている塩をコップの水に溶かします。すると、いったん薄っすらと白濁した後、透明になります。これを厳密に説明すると、マグネシウム分カリウム分など溶けやすい成分はすぐに溶け透明になりますが、溶けにくい(すぐに溶けない)カルシウム分などはしばしの間いったん白濁し、最後に全部溶けて透明になっているのです。肉眼では白濁までしか分かりませんが、厳密にはこうしたことがコップの中で起きています。

塩作りと各成分の性質

さて、塩作りは、コップの水に塩を溶かすことのちょうど逆。つまり、各成分が溶け込んでいる海水からその成分を固まらせる(析出させる)ことです。海水を蒸発させ濃縮していくと、塩を水に溶かしたときとはちょうど逆の順に、一番溶けにくかった成分(カルシウム分)から析出を始め、一番溶けやすかった成分(マグネシウム分)が最後に析出します。

海水を濃縮していくと、各成分の性質の違いにより、早いタイミングで析出する成分もあれば、遅くに析出する成分もある

のです。この早い遅いは各成分によってそれぞれ異なります。言葉を換えれば、そのタイミングにズレがあるのです。塩作りは主にこのタイミングのズレを使って、出来上がる塩の成分を調整します。その具体的な様子を、次のページで見てみましょう。

塩作りの原理

「湿気ってたけどおいしかった」昔の塩の成分は?

「昔の塩は、湿気ってたけどおいしかった」という話をときどき耳にします。これを成分で解説すると、昔の塩には、マグネシウム分カリウム分の成分が比較的多かったと言えます。上記のとおり、この2つの成分は、非常に溶けやすい性質。そのため、これらの成分が多いと周りの空気中の水分にさえ溶けやすくなり、湿気っていたのです。逆にこれらの成分があまり含まれていない塩は、湿気にくくサラサラになりやすいのです。また、マグネシウム分は苦味、カリウム分は酸味の成分です。味としては、(塩辛いだけでなく)適度の苦味や酸味があって、おいしく感じたという訳です。